デザイナーはデザイン、開発者はプログラムだけという時代は終わった―アドビ イルグ社長
リッチ・インターネット・アプリケーション(RIA)隆盛の影響もあって、UIを作るデザイナーとロジックを作るデベロッパーとの仕事の境目が曖昧になりつつある。そのような現状にシステムを作る側はどのように対処していくべきだろうか。また、RIAは今後本当に市場に定着していくだろうか。アドビシステムズの代表取締役社長 ギャレット イルグ (Garrett J.llg) 氏にお話を伺った。
クリエイターとデベロッパーが融合していく
―近年アドビは、Photoshopをはじめとする"デザインツールのアドビ"というイメージを脱却し、業務エリアでのカバレッジを広げました。この観点から2007年はどういう年だったと言えるでしょうか。
まずアドビの持つイニシアチブという点を考えると、古くはPostscriptがあり、続いてIllustrator、そして次の革新としてPhotoshopへと続いてきたわけです。こういった様々な革新における共通のキーポイントは、「顧客が何かを作る力を伸ばす」ということです。それがブロードバンドの普及とあいまって、ユーザに強力なクリエイティビティを提供できる形に進化してきました。
その一方で、もうひとつの動きとしてワークフローの革新が生じたことも無視できない点です。すなわち、もともとは一方的なプレゼンテーションの役割であったWebサイトが、現在ではトランザクションベースが主流となっており、バックエンドのインフラは非常にパワフルになっています。そのため、それらバックエンドの資産を活かすために今度はよりクリエイティブなフロントエンドが必要になってきたわけです。
パワフルなバックエンドとクリエイティブなフロントエンドを統合するということは、すなわちデベロッパーとクリエイターが同じ土俵で仕事をしなければならないということです。しかし当然、両者の持つスキルは異なります。そこで相互に情報交換しながら分担して仕事を進めてきたわけですが、問題はそのようなスタイルの開発では加速するリリースサイクルに追い付いていけないということです。また、意思疎通に関する問題も生じます。
こういったことから、今後より大きな成功を納めるのはバックエンドとフロントエンドの両方の仕事ができる人材だろうと考えています。しかしクリエイターにプログラミングを教えたり、プログラマがデザインもできるようにトレーニングするというのは現実的ではありません。
アドビとしては、今年一年そのような未来に向けたひとつの解を提供してきました。すなわち、クリエイティブな能力を持つ人に対しては彼らのデザインをインフラに乗せるための使い易くパワフルなツールを提供することです。その一方でプログラミングを得意とする人に対しては、よりクリエイティブでアクセスし易いツールを提供することです。
現在注目を集めているAdobe AIRというのは、これまでのアドビの技術とMacromediaの技術の融合ですよね。それに対してエンタープライズの分野ではLiveCycleという製品群があるわけですが、こちらについてはまだ従来のアドビの技術との完全な融合を果たせているとはいえないのではないでしょうか。
確かに、それについてはまだ継続中の段階です。2007年はCS3 (Creative Suite 3) およびLiveCycle 8をリリースしました。CS3ではFlashとPDFの統合を実現しています。LiveCycle 8ではFlexフレームワークを統合することで、データのやり取りだけでなくワークフローを管理することが可能になっています。
ご指摘のようにまだ完全な形ではありませんが、デベロッパーとクリエイターがひとつになってきているように、マルチメディアとエンタープライズもひとつに統合されようとしています。
―プラットフォームだけでなく開発ツールの点からはどうでしょう。現状ではマルチメディア側の人とエンタープライズ側の人では開発に使っているツールが異なりますよね。この間をつなぐツールというものを出す予定はありますか。
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