Azureの発表に見るMSの思惑

2008/11/11 09:44:20

 先日開催されたPDCとWinHECで、新プラットフォーム「Azure」が発表されました。MSのデータセンタ上で稼働するプログラムをインターネット経由で提供するという、クラウドの形態をとることが最大の特徴です。

 MSという企業は、MS Word対Novell WordPerfect然り、Internet Explorer対Netscape Navigator然り、新製品を出すにあたり「仮想敵」を置くことが常です。PDC 2008でRay Ozzie氏が言及したことからすると、今度はAmazon EC2(Elastic Compute Cloud)がその役を演じさせられるのでしょうか? それはあまりに短絡的だと思います。

 というのも、EC2は唯一の競争相手ではないからです。EC2はインターネット経由でなんらかのサービスを提供するための器に過ぎず、各種バックエンドや開発言語・ツールにより構築されます。自社のサーバ(Windows)上に各種サービスをデプロイする、というこれまでMSが推し進めてきたビジネスモデルとは異なり、開発側の判断で他社のサービスやプロトコルも組み合わせることができます。EC2は、先行する事例の1つとして言及されたに過ぎないと思います。

 Azureという構想も、見方によっては、MSがアプリケーションのホスティングサービスを始めるだけといえます。Windowsの機能の一部が「雲の向こう」へ移動するものの、.NETやVisual Studioを利用した開発環境に大きな変化はなく、SQLなどのサービス群も従来型(オンプレミス)と変わりません。例として挙げられたEC2とは、出発点において大きな隔たりがあります。

 私は、今回の発表は「煙に巻いた」という表現が適切だと思います。提供開始時期はともかくとして、価格やライセンス体系がまったく明らかにされなかったのですから。オープンソースの開発ツールに対する正式なコミットもなく、プラットフォーム横断的な開発がサポートされるのかも確信が持てません。形式としてはクラウドですが、雲を丁寧に取り除いた「紺碧の空」を見渡すと、そこにはWindowsサーバと.NETベースのサービス群が存在する世界が……ただ、インフラの面倒を見てくれるという点を評価し、それが開発/運用コストに見合うのならば話は変わってくるのでしょうけれど。

 

※このエントリは builder メンバーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および builder編集部の見解・意向を示すものではありません。
このユーザーブログエントリーはbuilder編集部によりピックアップされてます。
  • 1件のコメント

#1 鈴木章太郎  - 2008/11/12 11:26:56

これから色々情報が出てきますので、ぜひともご期待ください。まずは、来年1月27日・28日開催のTech Daysが次の機会ですので、ご興味が... 続きを見る
» 不適切なコメントを報告する
記事の感想やご意見をコメントでお寄せください

ニックネーム : CNET_IDにログインしてコメントする

コメント本文(必須) :
  • 新着記事
  • 人気記事
  • 特集
  • ブログ