多国語でWebサイトやサービスを展開する際に、気をつけておきたいポイントを紹介する本連載。今回は日時や単位といったフォーマットの違い、言葉の音訳と意訳、そして省略と短縮の3つを紹介する。
2. 音訳と意訳を上手に使い分ける
文字の長さにも影響するだけでなく、文章そしてサイト全体の印象も変えてしまうのが音訳と意訳だ。読み手の環境、扱っている媒体に応じてどちらかに切り替えなくてはならない。意訳のほうが理解されやすいが、無理にすべて意訳するのではなく、一般的に使われている音訳(和製英語やカタカナ語)は積極的に使って行きたい。
例えば「Bookmark」という言葉も、そのまま訳せば「栞」になるが、ブラウザの機能を表しているのであれば「ブックマーク」と表示するのが適当だ。しかし、日本は欧米に比べてIEのシェアが高いことを考えると、「お気に入り」と表記したほうが理解されやすいかもしれない。
このように音訳するかしないかを検討するだけでなく、ターゲットにしている国の文化に応じて微調整が必要になってくるだろう。
日本語を英語に訳す際も同様に文化やターゲットとしている利用者に応じてどう意訳するか検討する必要がある。しかし、和製英語をそのまま英語に直訳していることがあるので注意しておきたい。例えば「オーダーメイド」「グレードアップ」「プラスアルファ」など、一見英語の音訳にみえるものも実は和製英語という場合がある。和製英語に関するサイトや書籍はいくつか出回っているのでチェックしておきたい。
これは日本語のサイトのみを制作しているときにもいえるが、開発者やWebサイト制作の業界では一般的な言葉になっているものも再検討して意訳しなければならない。
特に技術系の業界では横文字が頻繁に使われているので細心の注意が必要だ。
例えばWebサイト制作をしている方なら「テーブル(Table)」と聞けばHTMLの
が表を作るための要素というところから連想して「表」と考えることができるが、誰でもそう考えれるわけではない。専門用語や外来語をそのまま音訳して表記することはできるが、あくまでターゲットにしている利用者の視点で評価することを忘れてはいけない。
3. 短縮形と省略形は効果的に
短縮系や省略形を使うことでスペースを節約することができるが、国や文化によって短縮できる言葉が違ったり、説明が必要になってくる場合もある。
英語では「Do not」を「Don't」と省略できる。また日本語では副詞や主語を省略しても意味が通じる場合があるが、英語では必要になってくるケースが多い。英語で省略できるフレーズは少なくないが、「it'll」「should've」のようにあまり一般的なものでないものまで省略すると逆に分かり難くなる。
省略形はターゲットにしている国やユーザー層に応じて使い方を調整する必要がある。一例として、技術的な違いではなく一般的な意味での「高画質映像」をどう省略するか考えてみよう。
欧米ではHDを高画質映像(High Definition)の省略語として捉えるが、日本では90年代からの文脈によりハードディスク(Hard Disk)として捉えられることもある。日本で高画質映像といえば、HV(ハイビジョン)もしくはHDTV(High Definition)と少し長めに表記されるだろう。
Yahoo! Moviesでは高画質映像をHDと表記しているのに対し――
asahi.comではハイビジョンと表記している。ページ左下には「HV」というアイコンもある。
こうして、ケアを怠っても全く理解されないわけではないが、微調整を行うことでより伝わるコンテンツになることもあるのだ。ターゲットが絞られていたら国が違っても省略形が通じる場合がある。例えばオンラインゲームコミュニティサイトを作るのであれば、参加者はオンラインゲームに興味を持っている人が当然多いので、MMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)といった用語も積極的に使うことができるだろう。
社名に省略型が使われているケースがあるが、多国籍企業でもない限り通じることはない。何を省略しているのか表記するのではなく、どういった会社なのかを説明したほうが適当だろう。結果的に原文よりスペースが必要になってくることも考慮しておきたい。
また、正式名称ではなく相性や略称で知られているものを使うのも、表記を短くするときのコツだ。例えば「日本テレビ放送網株式会社」も「日本テレビ」と略したほうが通じやすいし、コンテンツの雰囲気で「日テレ」にもできるだろう。英語でも「The Walt Disney Company」と表記せず「Disney」といった具合に短くしても通じる名称は少なくない。
今回紹介した3つのポイントを考慮して翻訳した例。一度に翻訳しようとせず文字数も考慮して徐々に組み替えて行くと分かりやすい。
さて次回はビジュアルデザインも含めてローカライズの際の注意点を紹介していきたい。
http://builder.japan.zdnet.com/html-css/sp_web-design-localize-2008/20374163/2/