ウェブサイトのローカライズの特徴
こうしたアプローチをとるための課題としては、まずコストがかかる点が挙げられるだろう。共通のコンテンツ管理システム(CMS)を利用できないだけでなく、各国の現地に中・大規模のWebサイト管理チームを編成する必要が出てくる。また、各国の支社が独自のアプローチをとれるような組織作りとネットワークがなされているかも課題になる。そこで、各国で別々のサイトデザインにするのではなく、各国同じサイトデザインで情報配信をするアプローチを用いる場合がある。
マイクロソフトは米国と日本をはじめ、各国それぞれで同じレイアウトを採用している。ナビゲーションもほぼ同じ情報が同じ順番で並んでいる。現地の利用者に対して繊細かつ柔軟なメッセージを伝えるという意味では前者のアプローチに比べて劣るが、世界で統一されたブランドイメージをつくりたいのであれば、マイクロソフトのようなアプローチが最適かつ効率的といえる。同じサイトデザインではあるが、国に応じて若干違ったグラフィックの扱い方をすることによって、翻訳以上のローカライズを実現している。
シンプルでビジネスライクなアメリカのサイトに対して、日本では若い女性のモデルを大きめに掲載したり、親しみのあるイラストを添えて家電の広告に近い雰囲気のグラフィックを用いている。韓国ではビジネスライクというよりコミカルな一面を強調しており、アメリカと日本にはなかったアニメーションも見られる。トップページのわずかなスペースではあるが、画像にちょっとした工夫を加えるだけでもお国柄を出すことができるひとつの例といえる。
効率的かつ効果的なローカライズを考える
マイクロソフトをはじめ幾つかの多国籍企業は同じレイアウトにして統一しているが、翻訳の仕方や部分的にチューンナップすることで効果的なローカライズを実現している。
このアプローチの重要性は、企業サイトだけでなくデスクトップアプリケーションやWebサービスでも同様のことがいえるだろう。
Webサービスでトヨタのようなアプローチをとると、メンテナンスや更新が非効率になるだけでなく、サポートも大変なことになる。つまりWebサービスではほぼ同じレイアウトを提供せざるを得ないわけだが、それではテキストを単に翻訳しただけでローカライズされたサイトといえるだろうか。
ローカライズしなければならない要素は大きく分けて「文章」「画像」「オーディオ」「ビデオ」の4種類。さらにその中でも、文章(テキスト)と画像のローカライズには細心の注意を払わなければならない。
そこで本連載「Webデザインとローカライズの関係を理解する」では、多言語サイトを構築する際に気をつけておきたいチェックポイント6項目を、次回から順に紹介していきたい。
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