私たちのFirefox 3--揺るがない「オープンスタンダード」への準拠
3 即戦力になりそうな新機能は
では、Webアプリケーション開発者にとって即戦力になりそうなFirefox 3の新機能はどんなものがあるだろうか。
新しく使えるようになったという意味では、SVGやCanvasなどのグラフィック周りが挙げられると浅井氏は指摘している。ただし、IEなどの他のブラウザが対応していない部分もあるため、ブラウザ間の差異を無くしたい場合は注意が必要だ。
逆に、これまでIEでしか利用できなかった独自の機能にFirefox 3が対応しているケースもあり、そちらの方が開発者にとってはうれしいかもしれないと同氏は言う。
「例えばIE独自のJavaScriptやCSSのプロパティなどがありますが、広く使われているものについてはHTML 5に取り込んでいこうという動きがあります。そのようなもののいくつかはFirefox 3でもサポートしているので、クロスプラットフォーム対応がやりやすくなっていると思います」(浅井氏)
そのほか、先にも挙げたがオフライン機能についてはWebアプリケーション開発者にとって注目すべき部分である。これについてもう少し詳しく説明していただいた。
4 オフラインでもWebアプリケーションが利用可能に
Webアプリケーションのネックは、インターネットに接続した状態でなければほとんど役に立たないという点だ。
例えばGmailは、オンライン状態でなければ過去に受け取ったメールを読むことすらできない。このような制限から、Webアプリケーションの業務への採用を見送っている企業もあると聞いている。
ブラウザのオフライン機能とは、これらのWebアプリケーションの機能を、オフライン状態でも利用できるようにするというものである。具体的には、従来はサーバ側にのみ蓄積されていたデータをブラウザ側のストレージにコピーすることで、オフライン状態でもそれを参照できるようにする。
Gmailの場合でいえば、未読のメールや再度読む必要のあるメールがローカルに保存されていれば、スタンドアロンのメールクライアントと同様の使用感が得られるようになるだろう。
このような機能は現在、仕様策定中のHTML 5でも導入が検討されており、Firefoxに実装されているものも、基本部分はHTML 5のそれに準拠したものになっているという。
HTML 5の仕様ではローカルのデータストレージのほかに、アプリケーションをキャッシュしておきオフライン状態でも実行できる機能を持つ。また、オフライン/オンラインの状態が変化した際にイベントが通知されるため、適切なタイミングでサーバとローカルのデータを同期させることができ、シームレスな切換えが可能とのこと。
もっともHTML 5はまだドラフト段階であるため、仕様が確定していない部分も多い。したがってFirefox独自のAPIも利用しているとのことだが、これについて中野氏は次のように補足する。
Mozilla Japan 技術部 国際化担当マネージャ 中野雅之氏
「独自に追加した機能については、逆にこちらからHTML 5に提案するというアプローチも取っています。とにかく、こちらで先に実装例を作ってしまおう、と」
現状ではまだFirefox 3のオフライン機能を利用できるWebアプリケーションはほとんど無い。大手サービスではZimbraがサポートしているとの話だが、日本語版は未対応となっている。
したがって、ユーザがこれを利用できるようになるのはもう少し先のことになりそうだ。しかし浅井氏は、「Webアプリケーションの提供元としては、今の状況は他のサービスと差別化するチャンス」だと指摘している。
なお、ブラウザをオフライン機能に対応させる拡張としては、Googleが提供しているGearsが有名だ。OperaやInternet Explorerでも同様のオフライン機能をサポートするという話が持ち上がっている。
ある意味で競合する技術になるわけだが、これをFirefoxの開発者はどのようにとらえているのだろうか。次回はその辺りを中心にまとめてみようと思う。
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