「OpenXC」はクルマを変えるか?
2012-02-21 16:00:00
自動車メーカーにとってコストダウンは重要課題だが、消費者にとってもそれは同じこと。しかし消費者は、クルマの制御系や安全システムを削る術がないため、購入時にムダなオプションを削ることで対応するしかない。ホイールや塗装などオプションはいろいろあるが、標的になりやすいのは「カーナビ」だろう。
実際、カーナビの単価は高い。ダッシュパネルに固定するタイプは工賃込みで20万円あたりからが相場、しかも地図更新時には2〜3万円ほどかかる。自律航法や3Dジャイロなどの搭載により概して高精度だが、着脱可能なポータブルナビに比べるとはるかに高価だ。
そしてカーナビは、自動車メーカーにとって扱いに苦慮する存在のはず。もはや単なるオプション機器ではないからだ。
プレミアムカーの場合、本体価格に比べそれほど高価ではなく、標準装備されていることも多い。Mercedes Benzの「COMANDシステム」、BMWの「iDrive」はその代表例で、ナビゲーション機能だけでなくメンテナンス機能も装備するなど、クルマの頭脳に近い位置付けへと進化している。現在のプレミアムカーにとってカーナビ、もとい統合コントロールシステムは不可分の存在だ。
量産車種の場合、そうはいかない。たとえば、80万円の軽自動車に20万円のカーナビを搭載する消費者はそう多くないだろう。しかも、標準装備化して発注量を増やし単価ダウンを図ったところで、自動車メーカーの利幅は小さい。この部分はオプション扱いが望ましいが、反面消費者の高いニーズと将来性がある点が悩みどころだ。
先週Fordが開発者と大学関係者向けに公開した「OpenXC」は、その問題に対する解のひとつだ。Bug Labsとの共同開発によるこの技術は、ハードウェアとソフトウェア、そしてクラウドをも包括する自動車用プラットフォームと位置付けられる。
OpenXCがサポートする技術範囲は広い。たとえば、クルマのリアルタイム情報を参照し、スマートフォンのアプリで利用できる。クルマの速度やGPSによる位置情報などを入手し、安全に影響する制御系以外の処理に活用できるというのだ。このようなプラットフォームがあれば、スマートフォンやタブレットでも、固定型機器を超えるナビゲーションシステムとなりうる。それどころか、クラウドやソーシャルサービスとの連携など、機能的に凌駕する日はすぐそこだろう。
まだベータテスト段階ではあるが、安全性に関する部分以外の情報系統を開放するという考え方は合理的だ。自動車メーカーは「クルマ」本来の部分に注力でき、かつ消費者のニーズにも応えられる。たとえば、ベータテスターのひとつであるインドのHCL Technologies社は、クルマの現在位置を読み取り、会議に遅れそうな場合はアドレス帳にある出席者のアドレスにメッセージを送信するアプリを開発中とのこと。今後のOpenXCの動向に要注目だ。
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