Apple人脈から読み解くHPのPalm買収事情

2010-05-06 02:00:48

 HPがモバイル分野で目立った動きを始めました。そう、Palmの買収です。ハンドヘルド部門では歴史と実績を有するこの企業、かつては日本法人(パームコンピューティング)ありの、スピンアウトした創業者が設立したPalm OS搭載機「HandSpring」ありのと一時代を築きましたが、この10年ほど苦戦が続いていました。webOSとか、モノ自体はおもしろいと思うのですがねえ。

 低迷していたとはいえ、スマートフォン市場にそれなりのプレゼンスを持つ老舗企業ですから、HPが食指を動かしたとしても不思議ではありません。競合するDellやLenovoの名も、身売り先候補として浮上していましたしね。

 その買収意図ですが、Palm PreなどのハードウェアとwebOSに代表される知的資産を評価したことは間違いないでしょう。Microsoftのくびきから開放される、という解釈もできるでしょう。しかし、私はそれだけではないと思うのですよ。そう、「人材」です。

 PalmのCEOは、Jon Rubinstein氏です。彼はNeXT時代からのJobs氏の側近で、iPodの成功に大きく貢献した人物とされています。Appleを退職後に悠々自適の生活を送ろうとしていたところ、是非にと請われてPalmの取締役に就任したそうです。

 一方、HPで買収の陣頭指揮をとったとされる人物は、同社戦略技術部門上級副社長のShane Robison氏。気合いの入ったAppleファンは覚えておいででしょうが、AppleのNewtonプロジェクトで中核メンバーだった方です。私の場合、彼がNewtonプロジェクトを牽引していたことは、福田尚久氏(元Apple Computer米国本社副社長)のツイートで知りました。

 ちなみに、数年前からJobs氏はApple社員の流出を気にしていたとのこと。こちらの記事によれば、Palm幹部にはApple出身者が少なからずいるようですね。転職が珍しくない業界とはいえ、Jobs氏の『阻止するためにやれることは何でもやる』という発言が事実だとすれば、Jobs氏もPalmのポテンシャルを意識していたということなのでしょう。

 そういえば、NeXTを買収した最大の効果はJobs氏のApple復帰にあり、という見方がありますよね。もちろん彼だけでなく、前述のRubinstein氏やAvie Tevanian氏、ジェームス比嘉氏ら“Jobsの参謀”がセットでついてきた、ということもあるでしょうが。技術や知的財産も重要ですけれど、それらをよく理解し生かせる人材がいるからこそ、企業買収が成功するのだろうと思います。

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