組み込み系OSのトレンドを読む

2009-01-06 09:34:09

 OSについて言及するとき、つい「サーバ」と「クライアント」、「エンタープライズ」と「コンシューマ」という枠にはめてしまいがちですが、これとは異なるエコシステムで進化しているOSも存在します。その1つがいわゆる「組み込み系OS」で、現在では多くのデジタル機器で利用されています。今回は、自分の備忘録も兼ねて、組み込み系OSのトレンドについてまとめてみようと思います。

 まず、種類について。WindRiver社の「VxWorks」、Mentor Graphics社の「Nucleus PLUS」、Harman International社の「QNX」、そしてMicrosoft社の「Windows CE」が、それぞれ独自に(UNIX/POSIX仕様との互換性に配慮しつつ)開発されています。オープンソース系では「NetBSD」と「OpenBSD」、「Linux」が利用されています。日本のTRONプロジェクトから派生した「ITRON / μITRON」(以下、ITRON仕様)も、多くの採用実績があります。LynuxWorks社の「LynxOS」のように、プロプライエタリでありながらLinuxなどUNIX系OSとの互換性を備えるOSもあります。

 市場シェアですが、ここ日本ではITRON仕様が高いシェアを有しています。経済産業省が発表した「2008年版組込みソフトウェア産業実態調査報告書」のうち、資料として示された「プロジェクト責任者向け調査報告書(PDF)」の22ページによれば、日本ではITRON仕様のシェアが約30%に達しています。そこに(Windows XP for Embeddedなど)Windows CE以外のWindows(約18%)、Linux(約15%)と続きますが、「その他」が約16%、自社開発が約8%あり、ここ2~3年大きな変動はありません。なお、米国ではVxWorksが高いシェアを有しています。

 組み込み用途の場合、コストが重要な意味を持ちます。商用OSの場合、最終製品の出荷台数に応じてロイヤリティが発生することが一般的ですが、Nucleus PLUSのように初期費用だけでOKという製品もあります。LinuxやITRON仕様ならばロイヤリティーフリーですが、開発サポートを含めたトータルコストを考慮すると、商用OSは今後も一定のシェアを確保するものと予想されます。

 長期トレンドですが、LiMo Foundationなど携帯電話向けAPIの整備といったオープンな活動の盛り上がり、リアルタイム性の向上、Eclipseなど統合開発環境における組み込み開発のサポート強化などを踏まえると、コストが低く企業連合での開発が盛んなLinuxが世界レベルではシェアを伸ばすものと考えられます。さらに今後数年の経済動向を踏まえると、コスト引き下げ圧力は一層強まるものと予想されるため、LinuxやITRON仕様などオープンソースOSの採用を検討する開発元が増えるのではないでしょうか。

 

 

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